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合歓の木の家

作品一覧
敷地は大田区久が原。
昭和の初めに碁盤の目に区画整理された品格ある街並の残る久が原台地の中央にある。
時代の流れと共に区画が細分化される中、実家の隣りの敷地を取得し、新たな住まいを構えることになった。
通常、南北に長い南面道路の敷地は建物を北側に寄せて南庭とすることが多い中、本計画では敷地中央に中庭を設けて、北側の部屋にも採光が得られるような方針とした。
また、中庭と実家の既存庭を繋げることで、借景として取り込むことも目論んだ。
その際、将来の実家建替えのことも見据えて、中庭中心の計画も念頭に中庭の位置を吟味した。

建物は道路より一段上がった敷地に馴染むよう、細かな段床を設けることで、無駄のない断面と空間的魅力に配慮した。

玄関は道路からそれほど引きのない中、アプローチをクランクさせることで小道をつくり、両脇に植栽を配置。
また、西側にビルトインの車庫を配置し、玄関納戸を経て玄関へ通じる動線、車庫の脇にサービス通路を計画し、厨房への動線を計画した。

玄関を抜けると東側に中庭に面する居間、二段上がって食堂と厨房がある。
厨房の奥には家事動線の良い水廻りがあり、中庭を廻るように和室を配置した。

2階への階段は食堂脇にあり、車庫上の個室、三段上がってワークスペースのあるホールを経て、デッキを廻り書斎と寝室とウォークインクローゼットに繋がる。

どの部屋からも合歓(ねむ)の木のある中庭が見え、特に厨房からの眺めは、居間のコーナースペース、吹抜けを介した空、実家の奥行のある借景を見通せる特等席となっている。

実家との行き来もしやすく、お互いの建物の馴染みも良い計画となったことで建主の当初の目論見を達成した。
  • 竣工 2019年
  • 所在地 東京都大田区
  • 敷地面積 259.11㎡
  • 構造設計 野村基建築構造設計
  • 構造 木造
  • 規模 地上2階
  • 施工 平野建設
  • 建築面積 125.10㎡    
  • 延床面積 186.93㎡
  • 撮影 川辺明伸