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上用賀の家

作品一覧
敷地は東京都世田谷区の馬事公苑近くの閑静な住宅街にあります。外観はその街並みに溶け込む穏やかな佇まい。しかし、玄関を開け一歩建物に踏み込むと、そこには地下1階地上2階の三層にわたる中庭の景色が飛び込んできます。中庭の開口部はすべて木製建具によって構成されており、ガラスを通して、平面的にだけでなく断面方向での広がりやつながりが得られるよう計画しました。
3層の構成は、
地下1階が寝室と個室(ゲストルーム)
1階は建主夫妻それぞれの書斎が2室と水まわり
2階はリビングとダイニング・キッチン・パントリー。

地下1階の寝室はしっとりとした柔らかい光の中、静かに過ごせる寝室エリア。中庭にも出られ、ヨガをしたりお茶をしたり。地上1階は、水廻りと在宅勤務などに対応した建主夫妻のそれぞれの6帖の書斎。2階はLDK。この住宅の中でもっとも明るい開放的な空間です。

この計画においてテーマの一つが猫との共生。一見して猫の家と分かってしまうものではなく、住まい手が使って美しいと思える家具や建具枠などに工夫をほどこし、猫と人が共に快適に暮らせるような場所を家の中に散りばめました。
また、この建物は、国際森林認証の「プロジェクト認証」を取得を目指して計画しました。建主の森林環境への強い思いが端緒となっていますが、日本では個人による住宅での認証取得事例はまだほとんどありません。今回は山梨県の県有林から伐採される現場に立ち会う機会を得ました。昭和28年に植樹された樹齢70年のヒノキの認定林から伐り出され、そこから168本のヒノキを構造材(土台、柱、梁)が使われています。

隣家が建ち並ぶ都市の住宅環境だからこそ、外部の視線を気にせず窓を全開にして敷地全体の大きさを最大限に感じられ、さらに空の広がりや近隣の抜けや緑までを取り込み開放感を得る。都市型コートハウス(中庭のある家)の良さを凝縮した住まいとなっています。
  • 竣工 2024年
  • 所在地 東京都
  • 敷地面積 90.05㎡
  • 構造設計 野村基建築構造設計
  • 構造 鉄筋コンクリート+木造
  • 規模 地上2階 地下1階
  • 施工 渡邉技建株式会社
  • 建築面積 50.57㎡
  • 延床面積 131.32㎡
  • 撮影 川辺明伸